ポリウレタンディスパージョン鎖延長剤

  • 1,3-BAC

構造と特徴

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✔高引張強度 ✔安定性 ✔耐水性
✔耐黄変性 ✔低粘度+低融点 ✔速硬化

1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)は主にエポキシ樹脂硬化剤に使用されるジアミンですが、ポリウレタンディスパージョン(PUD)の鎖延長剤としても使用することができます。PUDは皮革のコーティングなど、社会の様々な場面で使用されています。

塗膜引張試験

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1,3-BACの添加によって、 ウレタン塗膜を高強度化 することが可能です。

1,3-BACをPUDの鎖延長剤に用いることで、様々なメリットがあります。その一つとして、競合品と比較して塗膜の引張強度及び引張弾性率が向上するため、強靭な塗膜を得ることができます。

保存安定性

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1,3-BACを用いたポリウレタンディスパージョンの粘度は変化せず、
保存安定性が良好であることを示しています。

PUDを高温下(50℃)で保管した際における保存安定性に関しても、1,3-BACを使用するメリットがあります。競合品と比較して、長期保管後のPUDの粘度上昇が見られないことから、1,3-BACは保存安定性の観点においても優れています。

耐薬品性試験

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1,3-BACを用いたポリウレタン塗膜の耐水性及び耐薬品性は良好です。

PUD塗膜の耐水性や耐薬品性についても、1,3-BACを用いることで高い効果が得られます。競合品を用いたPUD塗膜では水に浸漬した際に白化が起こりますが、1,3-BACを用いた塗膜では変化がなく、高い耐水性を発揮していることが分かります。同様に、酸やアルカリなどの液滴を塗膜上に放置しても変化を起こさず、高い耐薬品性があることが分かります。

処方例

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合成手順

  1. 1. IPDI (8.34 g)、DMPA (0.94 g)、PCD (20.98 g)、メチルエチル ケトン(MEK, 10 g)及びジラウリン酸ジブチルすず(IV) (0.02 g)を 混合し、80°Cで4時間加熱する。
  2. 2. 室温まで冷却し、トリエチルアミン(0.71 g)を添加して中和する。
  3. 3. 強く攪拌しながら水(46.9 g)をゆっくりと注ぎ、エマルションを作製する。
  4. 4. 水(10 g)に溶かした1,3-BAC (1.4 g)をエマルションに加える。
  5. 5. MEKを減圧下(350 hPa, 50°C, 45分)で留去する。

PUDの合成処方の一例を示します。例えば、ポリオール成分を上記処方から一部置き換えたとしても、1,3-BACの効果が発揮できることも確認しています。
※PCD:旭化成株式会社製 DURANOLT™

その他用途例

nail-polish
マニキュア
woodworking-paint
木工塗料
glove-coding
手袋コーディング

PUDの用途は皮革コーティングに限らず、マニキュアや木工塗料などの用途でも使用されています。環境への配慮から溶剤を含む塗料が制限されている昨今において、水を主溶媒としたPUDは今後の需要の伸長が期待できます。

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