1,3-BACの特徴
✔低粘度(9.1mPa•s@25°C) ✔高Tg(>125°C) ✔速硬化(120°Cゲル化1分)
1,3-BACのエポキシ硬化剤としての特徴は、低粘度、速硬化、高Tgであり、これらの特徴はFRP用途等のRTM成形向け硬化剤に適しています。120℃硬化で3~5分程度での硬化も可能で、成形後のTgは125℃以上であり高い耐熱性が得られます。
1,3-BACでのHP-RTM成形
実際のHP-RTM成形装置を用いた成形性検証を実施しており、高い流動性による大型CFRPの成形が可能であることを確認しています。
HP-RTM成形条件例
⻑い注⼊時間による⼤型部材の⽣産、ハイサイクル成形での量産。
HP-RTM成形とは繊維基材をセットした加熱金型中にエポキシと硬化剤の2液を混合して注入し型中で硬化することでFRPを得る成形方法です。1,3-BACのような速硬化型の硬化剤を用いることで、1つの成形品を得るまでの時間が短くでき、自動車部材成形で求められるハイサイクル(短時間)成形が可能となります。
推奨処方
エポキシ樹脂処⽅例
硬化剤ごと樹脂粘度⽐較(at 80°C)
樹脂硬化物Tg
CFRP 物性
推奨処方として、汎用BisA型エポキシの量100gに対して1,3-BACは22gの比で用いることができます。1,3-BACは速硬化でありながらも型内で流動することができる低粘度状態を長い時間保持する点がRTM成形に向く最大の特徴となっています。さらに、得られたCFRPは高Tg、高ILSS特性を有します。
添加剤を処方
促進剤添加処⽅例
促進剤処⽅でのHP-RTMプロセス温度、時間
硬化剤は1,3-BAC単体としてだけでなく、促進剤等の添加剤を処方することも可能であり硬化速度の調整が可能です。低温で速硬化性を有する処方とすることが可能なことから、成形時のエネルギー消費を抑えることが可能です。
1,3-BACの物性値
1,3-BAC物性
HP-RTMで使用した炭素繊維物性
HP-RTM条件
1,3-BACの物性値、HP-RTM成形で用いた炭素繊維、装置条件の詳細な値を示しております。
1,3-BACと水添BisA型エポキシ処⽅
✔UV環境下で黄変しにくい ✔高い反応性で速硬化
2液型エポキシ樹脂の成形向け
日光が直接当たるCFRP自動車外装部材ではUVによる黄変が課題となっています。水添BisA型エポキシと1,3-BACを組み合わせることで特に耐黄変性に優れたRTM成形向け処方を得ることができます。
耐UV試験(ISO 4982)
ISO 4982に沿ったXeランプ(300~400nm)によるUV照射試験において、1,3-BACの優れた耐黄変性を確認しております。
HP-RTM成形
既存のRTM成形部材は黄変しやすい樹脂であり、黄変を防ぐため成形品にアクリル系塗料を数回塗る作業を必要とします。一方で水添BisA型エポキシを用いた1,3-BAC処方は研磨するのみで表面を加工できコスト、生産性の観点でメリットがあります。
反応率⽐較(at 105°C)
水添BisA型エポキシは汎用のBisA型エポキシと比較して反応速度が遅いですが、1,3-BACは速硬化性を有することから、105℃/30分で反応を完結することができることも特徴です。
HP-RTMでのプロセス条件
典型的な水添BisA型エポキシと1,3-BACの配合量を示しています。