NIKANOL エポキシ樹脂への添加:【エポキシ樹脂への添加】

NIKANOLとは

NIKANOLは、メタキシレンとホルムアルデヒドとの反応により得られるキシレン樹脂製品です。
様々な樹脂(エポキシ、アクリル、ウレタン、など)や有機溶媒との相溶性に優れ、柔軟性・密着力・耐薬性の向上などに貢献します。
主要な用途例として、エポキシ樹脂塗膜への添加について紹介します。

NIKANOL製品のうち、液状かつ比較的低粘度な、Y-300、YP、YP-Hを紹介します。
Y-300は低粘度かつ色調良好で、ベンジルアルコールの代替が期待できます。一方でエポキシ樹脂の反応性を緩和し、反応発熱の抑制とポットライフの延長が期待できます。また塗膜の柔軟性や密着力向上が見込めます。
YPはポットライフに大きな影響を及ぼしにくく、塗膜柔軟性の向上に寄与します。
YP-Hはエポキシ反応の促進効果を持ち、特に低温下での乾燥性を補います。硬化後塗膜の柔軟性向上のほか、耐水/耐薬性の改善も期待できます。

各添加剤の製品性状

各添加剤の製品性状を示します。硬化促進性を持つその他のフェノール性添加剤も併記します。
ノニルフェノールなどは環境ホルモンとの側面から、近年では使用が制限されてきています。

エポキシ樹脂原料への相溶性

各種NIKANOL製品の、エポキシ樹脂原料への相溶性を示します。主要なエポキシ主剤、およびアミン類との相溶性に優れるため、幅広い用途での適用が期待できます。

評価の実施

本資料は、ビスフェノールA型液状エポキシを用いて作製したベース樹脂に、各種添加剤を10phr添加して評価を実施しました。
jER828:三菱ケミカル株式会社製

反応促進性

エポキシ混合物のポットライフについて、Y-300(黄)およびYP(橙)を添加することで、発熱を大きく抑制することができます。YP-H(赤)は、他のフェノール性添加剤と同様に反応促進性が得られます。

乾燥時間

各種エポキシ樹脂塗膜の乾燥時間について示します。
Y-300およびYPは、塗膜乾燥時間を延長できる調整剤として期待できます。YP-Hは、他のフェノール性添加剤と同様に低温環境下での塗膜乾燥時間の短縮効果が期待できます。

柔軟性

各種エポキシ塗膜の塗膜物性です。
いずれの添加剤についても、添加することで柔軟性(エリクセン試験)の向上が確認されます。

耐衝撃性

低温環境下での塗膜養生では、エリクセン試験の結果に差異が見られませんが、耐衝撃性でNIKANOL添加塗膜の優位性が見られます。
NIKANOL製品を添加することで柔軟性を維持して、耐衝撃性の向上が確認されます。

疎水効果と硬化促進性

YP-Hの添加により、高湿度環境下での養生時のブラッシングなどの塗工不良の改善が期待できます。これは、キシレン樹脂の疎水効果に併せ、YP-Hの硬化促進性に依るものと考えられます。

耐薬性

各種エポキシ塗膜の耐薬性について示します。
10%硫酸水溶液に4週間浸漬することで、下地の鋼板から点錆の発生や硬化塗膜の光沢減退などの薬傷が起こります。しかし、YP-Hを添加した硬化塗膜では、それらの薬傷を抑制する効果を確認しています。

10%水酸化ナトリウム水溶液に対しても、YP-Hを添加した硬化塗膜では耐性向上を確認しています。

海水を想定した5%塩水噴霧試験に対しても、YP-Hを添加した硬化塗膜では光沢保持/錆の抑制/カット部の剥離抑制など、最も優れた耐性を示すことを確認しています。